あらすじ

「もうあなたはいらない。」 そう言われて元の職場を解雇された私・児島瑠璃は現実に絶望して夜道をさまよっていた。 再就職先はどうしようか。そんな悩みが頭のなかを支配している。 途方もなく長い時間放浪していた時、私の鼻を何とも言い難いとても良い匂いが突いた。 横路地から放たれるその匂いを頼りに進んでいくと、あるおばさんが年季の入った鉄板で山盛りの肉を色の濃いタレで炒めている。 児島瑠璃はその良い匂いに釣られるがままそれを一つ注文した。 発泡スチロールで出来た簡易的な皿の上に豪快に盛り付けられる肉の山。 肉の一つに刺さった爪楊枝を持ち、それを口に運ぶ。 瑠璃はこれまで食べた事のない様な芳しくスパイシーなそれに魅了された。 「これ、凄く美味しいです!」 そう言うと店主は「じゃああんた、うちで働くかい?」と悪そうな笑みを浮かべる。 再就職先を必死に探していた私はそんな事には目もくれず、「はい、是非!ここで働かせて下さい!」と言う。 そんな私を見たおばさんはこう続ける。 じゃあ、一度私の故郷を見てもらう必要がありそうだねぇ。 私は口の中に残った旨味に未だ魅了されている。 その先の苦難の道を知る事もなく。

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カクヨム
カクヨム2023/09/01
  • 現在の作品瑠璃の半生