あらすじ
「たのむよぉ~ん! お願いだよぅー!」
夜、駅前でそう声を上げる男がいた。
「お願いしまっす! このとーりぃ!」
手を合わせたり土下座したり、遠目に見ても情けない顔をしていると分かる。
中年男性、髪はもっさり、眼鏡をかけている。
対する女性は服装とスタイルからして美人っぽいけど
壁に寄りかかりスマホの画面に向いているので顔はよく見えない。
つまり、完全無視。どちらも見事と言っていいほど一貫した態度。
そしてまあまあ見ごたえもある。
なので、友達と待ち合わせ中で暇をしていた僕は植え込みの縁石に座り
向かい側のそのやり取りを、いや、一方通行を眺めることにした。