あらすじ
「も、もうしわけありません旦那様…」
会話をしているのは、城の主であるユーリとその婚約相手であるセレナだ。ユーリは決してセレナを愛しているから婚約相手にしたわけではなく、完全に自らの都合をもって婚約相手と決めていた。そしてこのようなやり取りは今に始まったものではなく、以前からも継続的に行われていた。
「僕の機嫌も取れないのではもう君に用はないな…役立たずは早く消えたまえ」
かねてから無理難題ともいえる課題を出し続けてきたユーリ。その中でも最たる例は、あらゆる分野に関する自分の好みを把握させるというものだった。彼の好みは毎日のようにコロコロと変わっていくため、どんな天才をもってしてもその好みを正確に把握することなどできるはずがなかった。しかし彼はそれを改めようともせず、一方的にその責任をセレナへ押し付けるのみであった。
早く消えたまえ、というのはユーリが発した言葉だが、彼はこれをそのままの意味で言ったわけではなかった。きっとこの程度の事をいったところで、自らに反撃してくるような勇気はセレナには無いだろうと考えていた
。だからこそのあのような強気な言葉なのだった。
…しかしその思惑は大きく外すこととなることを、彼は後から痛感する…