あらすじ
「君とは婚約破棄させてもらうことにした。これは僕の独断で決めたわけじゃない。きちんと妹のセレミアにも相談したうえで決めたことだ。ほかでもい優秀な彼女の考えのもとでそう決めたのだから、僕自身にも何ら不満はない。いいね?」
スカルノとセレミアは、それはそれは仲の良い兄妹で有名だ。それこそ婚約関係にある私たちよりも、その愛は深いとさえ考える者もいる。しかしその副作用とでも言うべきか、二人は他のものの優しさに無感情なのだ。こうして私に対する一方的な婚約破棄もまた、その一つであると言わざるを得ない。
「…お二人でお決めになったのなら、もう私の言葉など聞き入れてはいただけないのでしょうね…私がこれまでどれだけあなた方に仕えてきたのかも、その行いもすべて、セレミアが持つ私に対する嫉妬のみでかき消されてしまうのですね」
「嫉妬?おかしなことを言うな君は。彼女がそんな幼稚な感情を持つわけがないじゃないか。彼女はあくまで多角的に物事をとらえて、その上で君との婚約は不適合だと判断したんだよ。そこに彼女の個人的な感情が、ましてや嫉妬などと言う愚かな感情などあるものか」
それにさえ気づいていないあたり、重症であるというほかない。