あらすじ
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農夫・旅行家(マルコ・ポーロ)・尼僧・主婦・商人・織元等6人の平凡な個人をあげて中世社会の諸々相を描破し,普遍的事実を具体的に記述し,暗黒時代といわれる西洋中世の生きた姿を語る異色の史書.
私は、以下の一連の記述において、中世における社会生活の種々相とさまざまな種類の史料とを同時に解説しようとした。そこで『ボド』は農民の生活と典型的な中世の所領の初期の段階を、『マルコoポーロ』はヴェネッィアの東洋貿易を、『マダム・エグランティトン』は尼僧院の生活を、『メナジエの妻は』中流階層の家庭生活と中世の女性観を、『トマス・ベトノン』は羊毛貿易とステープル商人の経営した大規模な英国の貿易組合の活動を、『トマス・ペイコック』はイースト・アングリアにおける織物業を説明するのである。マルコ・ボーロを除けば、彼らはみな全く平凡な無名の人々である。これら説明に用いたおもな資料は、荘園領主の土地台帳、年代記および旅行者の物語、司教の記録簿、家事に関する教訓書、家族間の書翰集、家屋、記念牌、遺言等である。本書の記述にあたって、素材の典拠となった資料名と若干の附記および参照は各章ごとに一括して記した。「我らを生みし我らの先祖たち」のある者を生き返らせようとするこのささやかな試みが、個人の姿を借りて、中世社会経済史の普遍的事実を少しでも具体的に知りたいという一般の読者や教師の興味を、僅か二、三時間でも惹くことができればさいわいである。(「はしがき」より)
目次
はしがき
第一章 農夫ボド――シャルルマーニュ時代の田舎の所領の生活――
第二章 マルコ・ポーロ――第十三世紀のヴェネツィアの旅行家――
第三章 マダム・エグランティーン――チョーサーの描いた尼僧院長の実際の生活――
第四章 メナジエの妻――十四世紀のパリの主婦――
第五章 トマス・ベトソン――十五世紀のステープル商人――
第六章 コークサルのトマス・ベイコック――ヘンリー七世時代のエセックスの織元――
挿図説明
訳者あとがき
UP選書にいれるにあたって
挿図目録
Ⅰ メナジエの妻、国遊会を催す
Ⅱ 働くボド
Ⅲ マルコ・ポーロ一行のヴェネツェア出帆
Ⅳ 趙孟頫の風景絵巻物の一部
Ⅴ マダム・エグランティーンの日常生活
Ⅵ メナジエの妻、夫のかいた書物をよみながら夫の夕食を調理す
Ⅶ トマス・ベトソン時代のカレー
Ⅷ コークサルのトマス・ベイコックの家