あらすじ
「リ、リドレー様…やはりマリア様は姿を消されてしまったようです…こ、これからどういたしましょうか…?」
「うろたえるなクライン。どうせすぐに自分の弱さを悟って戻ってくることだろう。ここから姿を消したままでいるほどの勇気や力は、あの女には無いだろうからな」
そう話をするのは、マリアの婚約相手であるリドレーとその臣下であるクライン。どこか冷静な様子のリドレーに対し、クラインの方はやや落ち着きのない様子を見せているが、それには理由があった。
「や、やはり脅しのように婚約破棄を使ったのが良くなかったのではありませんか…?わ、私は何度も反対したのに、リドレー様が繰り返せとご命令を…」
「だから大丈夫だと言っているだろう!!しつこいぞ!」
そう、リドレーは婚約破棄するぞと何かと言い続けていた。それを脅しのように使う事で、マリアの意思を自由に操っていたのだった。そしてその行為にやや加担していたクラインは、その行いこそこのような事態を引き起こした原因なのではないかと、リドレーに訴えているのだ。
「もしもこのまま戻ってこないようなことになれば、それは我々の想像を彼女の意思が超えていたという事になる。しかしそんなことがあるはずがない、私の予想を超えるようなことが起こるはずがないのだから」
どこからか湧き出てくるその自信の前に、クラインはもはや何も言い返さなかった。そして後々、この自信こそが取り返しのつかない事態を引き起こしてしまう原因となるのだった…