あらすじ
ミナージュは貴族家の当主であるレクティス伯爵と婚約していた。しかし伯爵はミナージュよりも妹のスフィアにばかり気をけていて、二人の関係は悪化していく一方だった…
「伯爵様、またスフィアとの食事を優先されたのですか?…私だけならまだしも、お相手様との約束を一方的に破ってそんなことをされてしまっては、多くの人々に迷惑が…」
できるだけ静かに、冷静な口調で伯爵に詰め寄るミナージュ。しかし伯爵の方はなんら意に介さない様子。
「仕方がないだろう、僕と彼女は真実の愛で結ばれている関係なんだから」
真実の愛。聞きなれないその言葉に、ミナージュは疑問を投げかけた。
「…なんなのでしょうか、その真実の愛というのは…」
「そうだな…君はまだ真実の愛を知らないのだろう?だからそんな口を叩くことができるんだよ。真実の愛というのは崇高なるもので、結ばれるべき二人を運命が結びつけるために互いが誓い合うもの…そしてその存在の前にすべての者はひれ伏すのだ…」
全く意味を理解していないのは、聞いているミナージュに限った話ではないのだろう。彼は自分を正当化するために、説明にもなっていない説明を重ねてこのような発言をしているのだから。
「…意味が分かりませんが、それは婚約者である私や、ひいてはあなた様に仕えている多くの人々よりも大切なものなのですか?」
「無論だ。スフィアとの関係を捨てろというのなら、私はそれらのものをすべて捨てるだろう。それだけの覚悟と勇気は持っているつもりだ。…そんなくだらない質問を投げかけてくるくらいなら、スフィアを喜ばせるためのアイディアの一つでも考えたらどうなんだ」
そうですか、分かりましたとだけミナージュは告げると、彼の前から姿を消した…この会話が二人の婚約者としての最後の会話となることを知って…
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