あらすじ
「――どうもぉーありがとうございやっしたー」
パラパラパラとにわか雨のような、いや、それ以下の拍手。
俺はこの瞬間が嫌いだ。
会場は客で埋まっているのに、この少なさ。いいや、そのことじゃない。こいつらが今勢いのある若手の漫才目当てなのは知っているし、俺たちコンビに人気がない事もわかっている。
ただ、まったく笑ってなかったくせに拍手するってなんだ? 同情か? それともマナーか? いただきますを言って手を合わせる自分が好きなのか? そのくせ、写真を取ったら満足して食べ残して――
「おい、おいって」