あらすじ
それはいつも通りの日常になるはずだった。 クラン“猛き爪”に所属するサフェトとその姉であるルカはいつものようにクランに要請された依頼をこなしていた。 彼らは実の姉弟故の息のあった動きで他の冒険者を圧倒していた。猛き爪は彼らのお陰で国の中で一、二位を争うほどの実力のあるクランに成長できたと言っても過言ではなかった。 ルカがまるで獣の如く攻め、その穴を縫うようにしてサフェトがサポートする。猛き爪のクランハウスがある街はこの二人──特にルカを“姫騎士”と言う二つ名を付けることで敬意を払っていた。 しかし、そんな日々も終わりを告げることになる。 「──姉さんっ!!」 最愛の姉、ルカが殺されたのだ。サフェトとルカが所属していたクランのメンバーの手によって。 理由はやはり、嫉妬だった。クラン内で何歩も先を行く二人が妬ましかった。特にルカは実力もさる事ながらその見た目も美しく、誰もが見惚れるほどのものを持っていたのだ。 だから、殺した。 「……あァァァァァァ……アアアアアアア!!!!」 そして少年は眼を大きく見開いて、天を見上げ咆哮を上げた。 しかしそれも長くは続かなかった。 「アアアア──ガッ!?」 後ろから何者かに刺されたのだ。下を向けば、そこにあったのはよく見慣れた、姉が使っていた太刀が月の光を反射させながら彼の体を貫いていた。 少年は怒りと憎しみで気が狂いそうになった。 その時だった。 「──っ!?」 か細い息を維持させていた姉がサフェトの方を向いて涙を流していたのだ。 そして── 「サフェト……ごめん、ね……」 そしてルカは静かに目を閉じた。 それを何もできずに見ていた少年の頭の中で、何かが切れた気がした。