あらすじ

「リエス様がここを飛び出されたらしいですが、いったい何が起きているというのですかな?」

 王宮会議を取り仕切る立場にあるアルゴルが、ややとげとげしい様子で声を発する。議題の中心となっているリエスというのは、王宮の頂点に立つノーチラテス王の婚約者であった女性だ。
 …この場において発言するのはやや危険なのだが、立場上致し方なく私は声を上げる。

「その点は問題ありません。これまでにもリエス様の行動には、王族の妃としてふさわしくない点がいくつもありました。むしろ彼女の方から出て行ってくれるのなら我々にとってもうれしい所でありましょう」

 嘘だ。王の手前私は嘘をついている。
 まず一点目。もとよりその資質が疑問視されているのは王の方であり、リエス様の方ではない。しかし王の一方的な振る舞いの前に、彼女を悪者とするほかないのが現状だった。まさか私が直接王に抗議をするわけにもいかない。そもそもそんな事できるはずもない。
 そして二点目。彼女が出て行ったことは好都合だと言った点だ。これももとをただせば王の方に問題があったのだ。有り余る身勝手な振舞の前に、リエス様はここを飛び出すことをにおわせていた。しかし彼女にそんな勇気があるはずもない、王たる自分の前から逃げ出すはずがないと確信していた王はあろうことか、出て行けるものなら出て行ってみろと告げたのだった。リエス様は有言実行を果たし、言葉通りにここを出て行った。

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