あらすじ

二十代までで女性とデートをしたことがない男性が六割を越えた。 そんなニュースが話題になったのは、俺がまだ小学生だったときのこと。 当時はそれがどんな意味を持ち、どんな結果を招くことなのか、わからなかった。 成長するにつれ、これは深刻に日本の未来が危ういのだと理解できるようになった。 二十代、三十代の未婚率も年々上がっていき、少子化も加速している。 政府は色々と対策を高じているのだが、その一つが、恋人未満男女交流促進制度の実施だ。 字面の通り、これは恋人未満の関係で男女が交流することを促進する制度。誰が言い出したのか、通称コイミー制度。 未婚率上昇、出生率の低下の最も大きな理由として、経済的な不安が挙げられている。しかし、その他にも、そもそも男女の交流が少なすぎるという理由が挙げられたらしく、この制度が導入された。 具体的な内容は、中学を卒業した十五歳から二十歳までの男女で、特定の恋人を持たない者について、半ば強制的にペアを作るというもの。このペアは、アンケートや心理テストの結果を元に、相性が良さそうな二人が選ばれる。 ペアとなった男女は、最低でも月に四回、さらに合計して十二時間以上、私的な交流を持つことがノルマとされる。この達成状況は、専用のアプリで計測する。 そのノルマを達成しなくても罰則はないが、逆に、ノルマを達成すると五千円分のポイントをお小遣いとしてもらえるので、大抵の人はそのノルマを達成しようとする。 高校生などは特に、昼休憩や放課後に一緒にいる時間を作るだけでノルマを達成できるので、自然と一緒にいる時間を増やそうとする。 お金に釣られて交流する男女関係に価値があるのか? などと疑問を呈する者もいるが、実状は違うと俺は思う。お金が欲しい、という言い訳を用意することで、男女で交流しやすくなるのだ。 男子も女子も、異性と交流したいという気持ちは持っている。ただ、高校生くらいだとその気持ちを前面に押し出すのは気が引けるので、お金が欲しい、という言い訳が役に立つのだ。 ちなみに、ノルマの達成とは別で、ペアを作った者には月五千円分のポイントが支給される。二人で一緒にいるときだけ利用できる仕組みになっていて、使い方は基本的に自由だ。 ペアを作ったところで遊ぶお金がないと何もできないし発展しない、というリアルを考慮しての措置。 なお、この制度への参加を拒否することもできるのだが、ペアを組まされること自体にさほどデメリットもないので、拒否する人はほとんどいない。一部、家庭の方針だったり、精神的な何かで拒否する人がいる程度。 この制度で交流をする男女が、必ずしも恋愛関係になる必要はない。それでも、男女の交流を経験することで、よりスムーズに次のステップに進むことができるようになる。 この制度が導入されたのが、俺が中学三年生のとき。それからまだ一年しか経っていないのだが、カップルは増え続けているらしい。今まで恋愛に積極的になれなかった男女が、恋人未満の関係を経験したことで、恋愛に前向きになるのが一因だそうだ。 もう一つ重要なこととして、ペアは三ヶ月ごとに入れ替わる。色々な人と交流し、視野を広げようというのが狙いの一つだが、他にも、喧嘩などで関係が悪くなる者も少なからずいるので、ペアは固定しないのだとか。

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カクヨム
カクヨム2023/10/10
  • 現在の作品自由恋愛が終了間近!? 男女の交流が推奨されるなかで、俺は気になるあの子の『ペア』になった。