あらすじ
高校一年生の夏休み明け、新しい環境にようやく慣れてきた頃。 誰もいるはずのない夕暮れ時の教室に忘れたスマホを取りに来た—―どこにでもいる男子高生の「小峰将光《おみねたけみつ》」はその日、目を疑う者と出会ってしまう。 ものは者。 そう、それは人。 その相手は誰もいない教室で一人、スマホを片手に何かを喋っている女の子。 学校指定のブレザーを羽織る小さな背中に、校則通りの丈に合わせた赤と緑のチェック柄のスカート。 首から下げたリボンは将光と同じ1年の朱色で、こちらもどこにでもいる女子高生のように見えた。 そう、それだけだったら——普通の女子高生だった。 しかし、彼女はなにかが違った。 頭には90度に曲がった黒角が生えていて、桃色の唇からは尖った八重歯が飛び出ている。 スカートから飛び出た先がハートの尻尾に、極めつけには背中から悪魔の羽が生えていた。 目を疑う正体、文字通り驚きで体が動かない。 まだまだ夏の余韻残る教室で。 小峰将光はその日、野性のサキュバスに出会ってしまったのだった。