あらすじ
「ではまず私から…ソフィーレ様は聖女の力を宿していながら、何ら私たちに利益をもたらしてはいないと考えます。このままでは期待外れもいいところ、さらにはこんな聖女をただただ理由もなく置き続けているなど一般に知れ渡れば、王政府までもが無能の烙印を押されてしまう事は必至です」
『そうだそうだ!!もっと言ってやれ!!!』
このヤジの声の大きさが、彼に賛同する者の多さを物語っている。大広間の中央に立たされる私に反論は許されていないため、私はただただ黙って事の成り行きを見守るほかなかった。
「良く言ったビルクス、さすがは私の忠実なるしもべ」
そう低い声で発するのは、王政の中枢を担い、かつ、私の婚約者である…
「ありがとうございますウォーベル様」
ウォーベル、それが彼の名だ。私の聖女の力を自分たちの利益とするために、無理やりな婚約を仕立て上げた張本人。
「今ウォーベルが言った通り、私は君を信頼して婚約を申し込んだのだ。…しかしこの現状だなんだ?ただただ力を維持するために資材ばかりを浪費して、なんら私たちに力の恵みを与えてなどいない。…あえて言おう、君は無能な役立たず聖女であると」
一堂に控える者たちの歓声が、一段と大きなものになる。私に対するヘイトはかなり根深いらしい。…その隣ではすでに若い秘書の位置にある女たちが、なにやら小声で次の議題を話し合っていた。