あらすじ
「君はいなくたっていいんだ。前から言っているだろう?僕にとって最も大切なのは妹のアリエスの存在であり、君は例え婚約者であろうともそれ以下の存在なんだ。それくらいの事は分かるだろう?彼女の可愛らしさを一度でも目撃したのなら」
自身の妹であるアリエスにすっかり心酔してしまっている様子のグリード。彼がアリエスを溺愛しているという事実は広く知られていたものの、最近はその様子を一段と強めつつあった。そしてその傾向を強め始めたのは、この婚約関係が結ばれた前後からであった。
「婚約してからというもの、旦那様はアリエスに入れ込みすぎではありませんか?もちろん妹のほうが可愛らしいというのは分かりますが、そればかりでは多くの方に迷惑をかけることに…」
私はあくまで間違ったことは言っていないつもりだった。だけれど彼にとってそれは、大間違いだったらしく…
「そんなものは知らない!僕にとって何が大切なのか、もう何度伝えたか分からないほどだというのに…君には理解できないらしいね、彼女の尊さが。それならもういいとも、この場で婚約関係など破棄してやってもいい。彼女さえそばにいてくれればいいのだから」
どこまでいっても、それが彼にとっての真実らしい。それ以上は何を言ったところで刺さりはしないのだろう。
「分かりました。私はいなくてもアリエスさえいればいいのですね?それならもう私はここから消えてあげましょう」
「そ、そんな事を言ったって僕は折れはしないぞ。そうやって気を引こうとする作戦なんだろう?ばればれだから無意味だと知るんだな」
それがはったりなどではなく、彼女は本気で言っていたことに気づくまでに、そう時間はかからなかった。
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