あらすじ
※「世界を変える運命の恋」中編コンテスト参加作品 ―――――――――――――――――――― 「もう一つの名前」。それは、与えられた世界、与えられた未来、与えられた運命に立ち向かうための、おまじない。 「帰れ。ここはお前が居ていい場所じゃない」 異能力科に入学した相村明心(さがむら あけみ)を待ち受けていたのは、先輩の冷淡な一言であった。先輩である夜掴帆澄(やつか ほすみ)は、新入生の教育係であり、学園生活をサポートする存在――そうなる筈だった。 舞台は、〈幻身(うつしみ)〉と呼ばれる異能の力を操る術師が、権力闘争を繰り広げる帝都。そこでは、五大名家と呼ばれる勢力が、凌ぎを削っていた。 そうしたなかで、五大名家の1つである月雲(つくも)家の嫡男・月雲絢志(つくも あやし)に憧れたという理由だけで、魑魅魍魎が跋扈する〈幻身使い〉の世界へ飛び込んだ明心は、ただただ危険でしかなかった。 降りかかる困難に立ち向かう明心。そこへ現れたのは、千年前に都を滅ぼしたという厄災だった。名を〈暁鴉(あけがらす)〉。〈暁鴉〉に乗っ取られた明心は、図らずも世界を敵に回すことになってしまう。 敵は世界だ。 世界が敵だ。 世界が殺しに来るぞ。 いま、帝都に火が放たれる。再現されるは、千年前の業火。月夜を焼き尽くす炎のなかで、彼女に手を伸ばすのは――