あらすじ
かつて作家志望だった「俺」は、その夢に挫折し、小説嫌いの私立探偵になっていた。 そんな俺の元に、友人の弁護士が、一冊の小説を持ってくる。 本の作者は、俺が大学生だったころ、不思議な町で出会い、恋をした高校生の女の子。 彼女が書いた物語のページを開いたとき、俺の脳裏に、あの懐かしい夏が蘇る。 ◆ 海と丘の町「福海町」に住む大学生の俺は、友達もおらず、日々を孤独に過ごしていた。 バイクに乗り、街中をあてもなく散歩して、自分だけの場所を見つけては、本を読んで……。 けれど、ちっとも寂しくはなかった。それが作家になるための唯一の方法だと信じていたから。 そして俺は、廃墟になったテーマパークで、同じように本を読む少女「レラ」に出会う。 気高く美しいレラの、そっけない態度の奥にある孤独と潔癖さに惹かれた俺は、「友達になってくれ」と、読みかけの本をプレゼントする。 二度目の出会いは、初夏の花火大会。 レラは、夜の湖畔で男に追いかけられていた。 ばったり出くわした俺は、とっさにバイクに乗せて助ける。 レラはろくに事情を話さないまま、俺の背中で泣き、黙って立ち去ってしまった。 そんなふたりの次の出会いは、七夕のショッピングモール。 短冊に「信じられるものが欲しい」と書いたレラ。 屋上遊園地で一緒に観覧車に乗り、打ち解けた俺たちは、ついに本当の友達となる。 駆け足で過ぎていく福海町の夏。 口の利けない不思議な黒少女との出会い。 秘密を隠した親友サエキ。 夏休みの人形劇。 レラの援交疑惑。 雨の中のケンカ。そして一気に深まるふたりの絆。 ユニークな福海町の住人たちとの交流。 雨の日の動物園。 夕暮れの霊園に響くスカボローフェア。 夏の終わり、はじめてレラが俺の家に来る。 しかし、やがてふたりを引き裂くことになる嵐は近づいてきていた。 そして台風が直撃した夜。 吹き荒れる雨風の中、俺たちはお互いの気持ちをぶつけ合う。 そして……。 ※縦読み推奨※