あらすじ
あるところに閑静な住宅街があった。 ベッドタウンでありながら、自然に溢れていて、都会の喧騒もここまでは聞こえてこない。 この閑静な住宅街の、緩やかな坂道を登り切った、街中を一望できる丘の上にその家はあった。 その真っ白な外観の家は、さながらお城のようであった。庭に続く石畳、薔薇のアーチで飾られた広い庭は季節の花で彩られ、その香りが庭中を満たしていた。 ここに住む人は幸福に違いないと誰もが思った。 ところが、ここがある少女にとっては静かな牢獄だとは、誰が想像できただろう。 少女の名前は藤枝美和。 現在、殺人容疑をかけられて警察にその身を拘束されている。 しかし精神面でその刑事責任を問えるのか、議論が交わされている最中だ。 これから話すのは、まさにその少女の話である。 #第44回横溝正史ミステリ&ホラー大賞 応募作