あらすじ
「ゲホッゲホッ…またせき込んでしまって…ごめんなさい、お兄様…」
「無理しなくてもいいよ、エーフィア。僕は知っているとも。君は少しでも僕に元気なところを見せようとして、毎日毎日病と戦っているんだよね?その気持ちだけで僕は毎日頑張れるんだ。だから無理はしなくてもいいんだよ」
甘々しい会話が繰り広げられているものの、これらはすべて妹のエーフィアの思いのままなのだった。兄のフォルツは妹を溺愛するあまり、自身の妹の病弱ぶりが不自然である点に一切気づいていなかった。彼以外の者、例えば彼の婚約者であるセレーナの前では人が変わったように饒舌になり、同時に攻撃的になるのだが、そんな事は彼の知るところではないのだった。
「これからセレーナと食事があったんだけれど、それもキャンセルしよう。今日はずっと僕がついてるから、安心して横になっているんだ」
「そんな…セレーナお姉様に悪いです…私なんかのためにお二人の大切なご予定を台無しにしてしまうだなんて…」
一瞬だけエーフィアが笑みを浮かべたところなど、フォルツが気づくはずもない。
「彼女も理解を示してくれている。何よりも大事なのはエーフィアなのだから」
――――
こんな日々が続いていた、ある日の事…