あらすじ
「マイナをここに呼びたい?」
「ああ。良い案だろう?彼女がここに来てくれればますますここも華やかになることだろうし。君だって義路とはいえ妹に当たる人物なんだ。一緒にいて心地よいだろう?」
上機嫌な口調でそう話をするのは、私の婚約者であるルザレーン様だ。彼は自身の妹であるマイナを溺愛していて、どんなものよりも彼女との関係を優先するような関係だった。時にそれは周囲の人々から偏愛だと言われるほどのレベルであり、私も何度も振り回されてきた。
しかしそれもついに度を越そうとしている。彼女のいう事を何でも聞き入れてきた彼は、今度はここを丸ごと彼女に分け与えようとしているのだ。
「さ、さすがにそれは…ここには多くの人々がかかわっています。その思いを不意にして自分の欲望のままにここを占拠されるのは、彼らの上に立つ者としてふさわしくないのではないかと…」
私が思った通り、私の言葉を聞いて彼の表情は険しくなった。マイナを否定するかのような言葉は、彼にとって許せないものなのだろう。
「そんなことを言う奴は追い出せばいい。…まさか、君も同じことを思っているんじゃないだろうな?」
「…だとしたらどうなさるんです?」
「別に関係はない。僕にとって最も優先するべき存在はマイナなのだ。それを受け入れられないというのなら、もういっそ出て行ってくれても構いはしない。…まぁ、そんなことができるはずはないだろうけど」
「…」
私はあくまでこの人の婚約者であるため、この人の味方をするべきなのだろう。しかし義妹のマイナは最終的に私を婚約破棄追放させるのが目的の様子。今回の目的も結局はそこにあるのだろうと思う。
それなら先に出て行ってしまおうか。私がその考えに至るのに時間はかからなかった。