あらすじ
「ありがとうございますお兄様、また助けて頂いてしまって、ここまでしていただいたらどうお礼すればいいのか」
「そんなことは考えなくてもいいんだよエレシア。僕は君を愛しているからこそ君の助けになりたいだけなんだ」
会話だけを見たら、仲睦まじい兄妹の会話に見えるかもしれない。けれどこの会話は二人きりで交わされているわけではなく、ある人物へ見せつけるための会話なのだった。
「お姉様もご協力していただいてありがとうございます。今後より一層関係を深めていけることを楽しみにしていますわ」
兄のレイゼンは妹のエレシアを偏愛しており、その兄の感情を彼女は理解してそこに付け込んでいた。そしてレイゼンの婚約者であるクレアに対し、このようにけん制を行っているのだ。
「なんだクレア、せっかくエレシアの方から距離を縮めようと誘ってくれているというのに。そういう態度では今後の関係も見直さないといけなくなるな」
「そんなことを言っては可哀そうよお兄様。お姉様はもともと誰かと心を通じ合わせることが苦手なの。それを無理にやれというのは酷な話だわ」
「それもそうか…確かにその通りだよエレシア。やっぱり君は気が利いて優しいな」
こんな会話が日常的に繰り返されていたある日の事、クレアとレイゼンは決定的な会話を繰り広げていた。