あらすじ
サイルーン王国の王太子、カルザードは憂鬱だった。 のらりくらりと交わし続けていた婚約者を、早々に決めなくてはいけなくなったから。 しかも選択肢はたったの二つ。 有力侯爵家バジーレの双子の令嬢、エラとフレイアのどちらを選ばなければならない。 周囲から得られる姉のエラの情報は乏しく、あっても醜聞ばかり。 一方の妹フレイアの社交界での噂は賞賛に満ちていた。 双子なのにあまりの違いに、カルザードは懐疑心を抱いた。 「そんなに疑うなら、ご自身の目で確かめてからお決めになれば良いではないですか」 そんな折、影武者であるアベルが放った一言にカルザードは不敵な笑みを浮かべ、誰もが想像もしなかったことを実行に移す。 「見るなら間近で、なおかつ身分をばらさずにだ」 こうして一人の見習い執事がバジーレ侯爵家に雇われることとなった。