あらすじ

僕は心臓を喰らった。そして永久の命を得た。 だが。永久の命を得た事で。人の輪からは外れてしまった。 無限を生きる者は有限の者と交われない。 人は交わりに同質性を求めるからだ。 僕は永久を生きる。世界を旅した後は都の近くの山に庵を建て。 そこで世界を見守る。世界の外から世界を孤独に観測する。 僕はその間も人を襲い続け。心臓喰らいとして知られるようになる。 そして。祓い屋と呼ばれる者たちに目をつけられる。 彼らは僕を怪異だと見做している。 僕はいつしか。 生きる気力を無くしてしまう。 永久を生きる事に飽いてしまったのだ。 だから山に建てた庵に閉じこもる。 ある日。 庵にある人物が訪れる。そして。 『ここに心臓喰らいが潜んでいると聞いたが』と言う。 ああ。やっと。祓い屋が僕を見つけた。 これで永久の命を終える事が出来る― と思ったら。彼は僕に興味を示し。祓う事なく僕の話を聞く。 そして。僕とその祓い屋、新藤(しんどう)は奇妙な友情を育む。 僕たちはお互い。自分の生き方に疑問を持っている。 新藤は祓い屋という道に縛られ。 僕は心臓喰らいという道に縛られている。 お互いが逆だったら良かったのに。僕たちはそう思う。 月日は過ぎていく。 新藤は命をすり減らしていく。 いつか別れが来てしまう。 僕はそれが苦しい。ああ。友情なんて結ばなければ良かった… 新藤は晩年、僕に提案をする。 『アンタを祓うことは叶わないが。アンタに名を与え。ヒトとしてこの世に定着させる―これが私の呪いだ』 名前で僕を人間に縛りあげようという試み。 僕はそれを受け入れる。 だが。名前を与えると言った新藤は。病を得たのか姿を表さないようになった…

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2023/09/20
  • 現在の作品『死にたくば。名で身を縛れ』