あらすじ
美濃 (岐阜県)は西日本と東日本の中間にある。
故に、吉野を脱出した天武天皇は美濃で体制を整えて『壬申の乱』を起こし、この美濃にある不破の関を閉ざしたことで勝利を呼びよせ、|北条《ほうじょう》-|泰時《やすとき》は美濃の|墨俣《すのまた》で『|承久《じょうきゅう》の乱』に勝って鎌倉幕府第2代執権となった。
また、北朝の|足利《あしかが》-|尊氏《たかうじ》は迫ってくる|北畠《きたばたけ》-|顕家《あきいえ》率いる南朝軍を抑えるべく|土岐《とき》-|頼遠《よりとう》を派遣し、美濃の|青野原《あおのがはら》で決戦となった事もある。
どれも天下の|趨勢《すうせい》を左右する大戦であった。
美濃は日の本の中心であり、戦国時代の乱世となった世では英雄・奸雄が|跋扈《ばっこ》した。
その一人である|斉藤《さいとう》-|利政《としまさ》(後の道三)は、下の者が上の者を倒して成り上がる|下剋上《げこくじょう》を体現し、親子二代で油売り商人から身を起こし、遂に美濃の守護代 (国主)まで上り詰めた覇者であり、『美濃の|蝮《まむし》』と恐れられた。
そんな利政が小さな赤子を抱きかかえて天に|翳《かざ》し、強面の顔をだらしなく崩して赤子を見つめた。
「其方は|胡蝶《こちょう》〔夢〕だ。我が胡蝶。我が帰るべき所よ。故に其方を|帰蝶《きちょう》』と名付ける。可愛いのぉ~」
まったく奸雄と思えぬ親馬鹿であった。
この物語は乱世の覇者と呼ばれた蝮の娘、|帰蝶《きちょう》のお話である。
◆この物語は史実に則った戦国大河です。
歴史解釈の違いはございますので、その点はご了承ください。