あらすじ
「仕事ができない君にここにいてもらう資格はない。今までさんざん目をかけてきてやったというのに、これがそれに対する答えなのか?」
王国を指揮する王室長の立場にあるアリアード様が、高圧的な口調でそう私に言葉を発した。
「目をかけてきたと言っても…自分の愛人になれという誘いが目をかけたという事なのですか?」
その誘いは何度もあった。それを断るたびに、自分に対する裏切りであると罵声を浴びせられてきた。
「そんな生意気を言う君にちょうどいい行き先を用意しておいた。…ここだよ」
彼がそう言って提示してきたのは、隣国であるエランテル帝国へ入国するのに必要な通行証だった。つまりはこの国から出て行けという事か。
「…そうですか、これはみなさん全員でお決めになった事なのですか?」
この人一人だけの独断であるなら、私がいなくなる影響をほかの人には与えたくないと思ったからの質問。けれど、そう思うだけ無駄だった。