あらすじ
「やれやれ…少しは役に立ってくれるのだろうと思っていたが、まさかここまで役立たずだったとは…これでは婚約破棄もやむを得ないな」
「ええ、まったくですね。まさかここまで期待を裏切ってくるとは、正直思ってもいませんでした」
そう会話を繰り広げるのは、この王宮で強い権力を有する王室長のマクシミリアとその臣下であるエメラルだ。マクシミリアの婚約者であるサリアに関して、二人は苦言を並べているのだった。
「このまま王宮に置いておいてもいいことは何もないでしょうし、もう追い出してみてはいかがですか?彼女一人いなくなったところで、なにも困ることはありませんでしょうし」
臣下であるエメラルは、薄ら笑いをうかべながらそう言葉を発した。それを聞いてマクシミリアもまた、同調する。
「それもそうだな…この王宮にあんな役立たずを置いておく義理などない。それくらいなら、追い出してしまって新しい婚約相手を探しに行くほうがはるかに楽しそうだしな」
そうしましょうそうしましょう、とエメラルは言葉を返す。二人の仲ではすでに、婚約破棄はおろか彼女を追い出してしまうところまで決めてしまったようだ。
「それでは準備いたしましょう。一人の存在を消してしまうことくらい、どうということはないのですから」
…しかし二人は理解していなかった。彼女を追い出してしまうことが最終的にどんな災厄をもたらすことになるのかを…