あらすじ

「よく来てくれたフェリアス。この後の事について話をしておきたくてね」

 私を呼び出したのは、婚約者であるロック様。

「今日の食事会は止めにする。だから君のほかに準備に当たってくれている者にも伝えておいてくれ。外せない用事ができたために中止だと」

 一方的にそう告げてくるロック様。私はその外せない用事に心当たりがあった。

「外せない用事というのは、セフィーレアの事ですか?」

 セフィーレアというのは、この人と同郷で同じ年齢、いわゆる幼馴染に当たる人物だ。

「よくわかったな。彼女の方から誘われてしまっては、断ることなどできないだろう?僕が心の底から愛する人、つまりは真実の愛に導かれた存在なんだ。…君もそれくらいの事は理解できるだろう?」

 それはつまり、私との関係は仮初であると認めるという事になる。この人はかねてからどんな予定よりも幼馴染のセフィーレアを優先し、私だけでなく周囲の人々までもそれに幾度となく振り回されてきた。その上本人にそれを詫びるような態度は全く見られず、さも当然の事であるかのようなふるまいを見せていた。

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