あらすじ

この数年間、それについて僕たちが話し合うことはなかった。別に思い出したくないわけでもなかった(少なくとも僕は)。きっと時間が過ぎていく中でそれに関する記憶が少しも色褪せていかないことに互いに戸惑いを覚えていたのだ。毎年顔を合わせるようになってそれぞれの一年を振り返る中で、実態を曖昧にさせていく去年や一昨年の記憶をはっきりと確認することができているのにも関わらず、その夜の記憶だけは昨夜のように明らかなままなのだ。それでいてそれは不確かな点が多い夜だった。現実的でないことが幾つも起きた。僕たちの出会いだってその一つだった。あの夜は信じられないことの連続だった。

僕はまた、あの夜について考える。

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アルファポリス
アルファポリス2023/08/03