あらすじ
「今日をもって婚約破棄させてもらうが、文句はないな?」
強い口調でそう話をするのは、私の婚約者であるアクレッジ公爵。自らの婚約を用済みだと見た彼は、私もろともその関係を闇に葬ってしまおうと考えたのだろう。
「理由は君のために説明しないことに決めた。余計なことを言って傷つけてしまうのは私の趣味ではないのでね」
そうは言うものの、そもそも相手のことを思うのならこんな一方的な婚約破棄などしないことだろう。それでも断行したうえで理由を告げないなんて、思い当たる理由はひとつしかない。
「…そういえば今日もいかれていたのですね。彼女のところへ」
「…」
気づかれてはいないと思っていたのだろう。しかし私がそのことを口にしたとたん、彼の雰囲気が変わった。