あらすじ

「サラ、いつまでたっても私のいう事を聞かなかったな。これはその報いなんだよ」

 そう言いながら婚約者であるクライスが提示してきたのは、婚約の破棄に関する手続き書だった。

「つまりは婚約破棄、という事ですか?」

 私の言葉にうなずくと、彼は言葉を続ける。

「私の奴隷になれといってもそれを拒否する、さらには私の命令に従えないという態度まで見せたな。この罪は重いぞ。ただでさえ記憶なき令嬢をこうして婚約者の立場においてやったというのに、その恩も忘れたか?」

 私が記憶をなくしている、そのことに付け込んで私との関係を強制的に結んだ彼。もし私が記憶を戻した時、大きな貴族家や騎士家の令嬢であったなら、それ相応の見返りが期待できると思ったのだろう。けれども全く記憶を戻すようなそぶりを見せない私に、ついに嫌気がさしたのだろうと思う。

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