あらすじ
「また、在庫が一つ減っているんです。今度はフィリックスガムが」 そう言って、少女は、笑った目のまま、眉根を寄せた。 「不思議だねえ。今度も、防犯ゲートは鳴らなかったのかい?」 ココアシガレットの箱をレジにかざしながら、レジの横に座っている少女に、真由美は話しかける。 「ええ。それに、あの子たちを疑いたくありませんし。やっぱり私がポンコツなのかも」 少女は苦笑しながら、少し首をすくめてみせた。 「そんなことないよ。あまり自嘲しなさんな」 そう慰めながら、自嘲するなんて、まるでこの子、人間のようだ、と真由美は思う。