あらすじ

いま私の目の前には一匹の悪魔がいる。 明星の瞳を持つ、私の大好きなホログラムだ。 舞台は、情報管理局が提供する広域情報共有サービス〈ヴィアヴァスタ〉が支配する近未来。「統制」「秩序」を意味する〈ヴィアヴァスタ〉は、人間社会に溢れるあらゆる情報を統計的に処理し、人々に「正解」をもたらす存在であった。 いまや聖断を下す神のような存在となった〈ヴィアヴァスタ〉。情報管理局の執行部隊である泡結蝶花(あわゆい ちょうか)は、聖断に従い、〈ヴィアヴァスタ〉によって「社会のガン細胞」として認定された人々を暗殺する仕事を人知れずこなしていた。 ――社会の脅威となる人間の情報を取得しました。次の人物の排除が推奨されます。 果たして、〈ヴィアヴァスタ〉は正しい存在であった。〈ヴィアヴァスタ〉が提供する情報は、人工知能によって分析・処理が施された正確かつ的確な情報ばかりであった。それゆえに、〈ヴィアヴァスタ〉が提供するものこそ事実であり、事実とは〈ヴィアヴァスタ〉によって作られるものだった。 そうした世界にあって、泡結蝶花は〈ヴィアヴァスタ〉が布く秩序を受け入れながら、日々の任務をこなしていた。そんな彼女の持つ人生観とは「人生はホログラムに似ている」というもの。この世に真実は存在せず、自ら信じたものが真実となるのだと。 人は何かしらの物語のなかに生きている。歴史上では、誰かが敵を鬼畜と呼ぶと、敵国人は鬼になった。誰かが隣人をゴキブリと呼ぶと、昨日まで優しかった隣人はゴキブリになった。そうして、人を殺すことに躊躇は消えた。己が罪は、信じた物語によって正義に変わった。 そして、彼女の親友であった湖濱柚稀(こはま ゆずき)が暗殺対象となった時も、彼女は簡単に殺すことが出来た。 そのはずだった。 けれど、その日を境に泡結蝶花の心にはぽっかりと穴が開いてしまう。そんな彼女を照らした朝日はとても眩しいものだった。 泡結蝶花と湖濱柚稀の心の葛藤を描いた近未来ディストピア×百合物語。

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カクヨム2023/04/03
  • 現在の作品ホログラムな人生