あらすじ
「アルナイン伯爵様、婚約を破棄されるおつもりというのは本当なのですか?」
伯爵の召使であり、同時に右腕としても活躍しているエディケートは、そう疑問を投げた。そう言ったうわさを、彼なりの情報網が捕まえたのだろう。
「さすが、よく気づいたな。その通り、エルナとの婚約は終わりにしようかと考えている」
想像通りの答えであったためか、特別驚きはしないエディケート。
「もしよろしければ、そのおこ心をお聞かせいただきたいのです」
「ああ。実は王国東側の地帯を支配する、サザンロス卿を知っているか?彼の令嬢との婚約にありつけることとなったのだ。評判においても、政治的な実力においてもかのものにかなうものなどいはしないだろう?であるならば、早々にエルナとの婚約など破棄してしまって、確かな力のある婚約へと踏み出したいのだ」
自信満々に、そして同時に上機嫌な様子でそう話をする伯爵に、エディケートはなにやら不満そうな表情を一瞬浮かべた。しかし浮かれてしまっている伯爵は、そんな大切な一瞬を見逃してしまったのだった。