あらすじ
ひょんな事から灰海慎也が恋人になったのは、記憶喪失になってしまったクラスで一番の美少女、九院砂緒だった。 普段は男嫌いで通す彼女だったが、記憶を失った彼女は寂しがり屋の甘えん坊で。 恋人生活は、とても順調に思えた。 だが。 「もし記憶が戻って、前の私になって慎也くんの事を忘れちゃったら……お願い、私が貴方のことを思い出すまで何も言わず側にいて――」 夏休みの終わりと同時に、砂緒は記憶を取戻し。 不安は的中、彼女は記憶喪失の間の事を。 慎也と恋人だった日々を忘れてしまう。 砂緒の言葉を信じる慎也は、だからそれでも側に居ようとするが。 「――そこのストーカー、警察に通報されたくなければ協力しなさい。……私の知らない間に恋人になって好き勝手してたクソ男を見つけてとっちめるのよ!! ああもうっ、きっとアレもソイツが持っていったんだわッ!!」 忘れられてしまったが、愛しの彼女の頼みだ。 慎也としても聞き届けたいが……。 (それ俺ですって言えないよなぁ……『慎也くんの事を嫌いって言いたくないの』ってお願いされちゃったし) 「聞いてるの? 答えはイエスしか認めない、こんな美少女に命令されてるんだから光栄に思いなさい!」 「…………仕方ない、探すよトホホホ」 何が悲しくて、自分自身を探さなければならないのか。 その上、慎也は砂緒から贈られた愛の証を。 彼女の両親の形見である結婚指輪の片割れを持っており、今の彼女は犯人を殺してでも奪い返すという気迫に満ちていて。 (――コイツ、絶対に何か知ってるわ) (恋人だったことも指輪も、絶対にバレちゃいけないやつだーッ!!) 果たして慎也は二人の愛の証である指輪を、そして恋人だった日々を守り通せるのか。 今の砂緒と記憶喪失だった時の砂緒、優先すべきはどちらの彼女が。 恋人から愛を隠したまま、愛を取り戻す戦いが始まったのだった。