あらすじ
「描いてください、せんせい、わたしのことを」 はつ雪の便りをつれて古民家の宿に訪れたのは《裸婦画》だけを描く画家だった。 一重の瞳に潤んだ紅の唇、白練の和服を纏った綺麗な女流画家。その眼差しはしんと透きとおり、眼睛は白銀を帯びている。例えるならば、早暁《そうぎょう》の雪だった。 大家の娘である《わたし》は画家と逢い、彼女の描いた裸婦画に強く心を動かされる。 そんな《わたし》に画家はいう――ねえ、あなたのことを描かせてくれないかしら、と。 斯くして《わたし》の春は、雪の季節に明けそめる。