あらすじ
《《 もうすぐ夕方になる。完全に暗くなる前に、のんびりと夕飯をたべることにしよう。》》
缶詰の大ぶりのツナ、それからホワイトアスパラ。火を熾して、スキレットにオリーブオイルを敷いてそれらを炒める。香ばしいかおりがしてきたところで、塩胡椒をふる。
カップに湯を沸かして、その間にコーヒー豆を手挽きする。いい香りが漂う。
葉の香り、枝の香り、土の香り。
様々な香りが、風に乗って僕を包み込んでくる。
それにコーヒー豆や、焼けるツナ、アスパラガスの香りが混ざって、心地よさが広がる。
スキレットの中でジュウジュウと焼けるツナを、フォークですくう。熱々を口に入れて、はふはふと息をはきながら噛んでほぐして、飲み下す。
美味い。
淡いカーキの小さなテントを張って、日差しよけの屋根を立てている。椅子は折りたたみ式。全てがコンパクトに車に収まる。
不便なものはなにもない。
余計なものもなにもない。
邪魔なものはなにもない。
快適だ。
近くにテントを張る誰かもいない。見渡す限り、遠くに明かりが見えるだけでこの周辺にいるのは自分一人のようだった。
そういう場所を選んだ。
そう、ここがいい。
コーヒーを淹れて、口をつける。選りすぐった豆だ、美味しい。それは最初から決まっていたことだ。