あらすじ
兄が公爵家の令嬢に婚約破棄をしたがため、両親の圧政やら汚職やらが露見したカーティスト伯爵家。 「アホくさ」 その伯爵家の妾(めかけ)の子である次男“アルト”は、母を見殺しにされた復讐もかねて没落して行く様を楽しみにしていたが、もう馬鹿馬鹿しくて仕方がなくなってしまい、16歳の頃に逃亡した。 12歳になると女神より授かるスキルは【黒雷】と呼ばれる強スキル。兄の顔を立てる意味でも使いこなせないフリをしていたが、実は世界でも指折りの実力者である。 彼の逃亡に気付き、すぐに追いかけて来たのは執事長のオーウェンと専属メイドであるレイラ。 「全てを秘匿するぞ」 頑なに側を離れない2人に渋々同行を許可。 王国の貴族間では強スキルのアルトはなかなかの有名人であり、身元がバレてしまえば馬車馬のように働かされる危険がある。 その防止として2人に祖父と妹という役職を与え、辺境都市で量産型の冒険者を演じるという隠蔽生活を送る事となった。 薬草採取にゴブリン討伐、ダンジョン探索。 アルトはスキルを封印し、視線誘導という技術をフル稼働させ、見事、剣士として「冒険者A」として平穏を手にした……はずだった。 「聖女……?」 潜伏を決めた辺境都市のボロ宿。 それは、平民あがりの地味すぎる聖女として勇者パーティーに参加しているエリスの実家であったのだ。 「バラしたら殺すから」 貴族との間に無用な軋轢を生まないため、地味なフリをし続けていたエリスは、冒険者Aに素顔を見せてしまい即座に脅した。 それが、「『王国一の魔導師』になるの可能性を持っている」と王家が必死に探しているアルト・エン・カーティストだとは知らずに……。 「護衛騎士として私から離れる事は許さないから。断ったら強姦されたって通報するし」 「や、厄介な事になった、クソッ!」