あらすじ

幼馴染を自殺で亡くして以来、無気力に日々を過ごす大学生・夕陽有里。連敗続きの就職活動の末、ある一社の内定を得る。株式会社バーチャルヘヴン。『死者との出会いをお届けします』と謳い、最新技術を用いて死者を仮想空間に復元させる怪しげな企業だった。有里は、人を寄せ付けない上司・成瀬や陽気な麺二郎と共に、会社を訪れる依頼人、そして仮想空間に存在する死者と向き合うことになる。 過労死で亡くなった息子を復元したい山中夫婦、娘の自殺という死因を受け入れられず高校生が自殺した事件を殺人事件にしようとする桐原刑事、復元した恋人との離別を望む高橋。彼らとの交流を経て、有里は、幼馴染であり社長の娘でもある優菜の死に考えを巡らす。 また、有里は忘れ物を届けに成瀬の家に訪れた際、彼女が以前に恋人を喪い、仮想空間に復元した恋人に依存してしまっていることを知る。心の内を共有したことにより、有里と成瀬は距離を縮めていく。そして有里は、社長が自殺した優菜を仮想空間に復元していることを知る。 有里は会社の立役者の一人である宝城に出会い、「人を死に至らしめるものは絶望」という言葉を聞く。これを受けた有里は、優菜と会い、成瀬がしたように死を受け入れることを決意する。 二回目の訪問でようやく優菜と言葉を交わすことに成功した有里だったが、そこで優菜から託されたのは「父に内緒で自分のデータを消してほしい」という無謀なものだった。実行を試みたものの、社長にそのことを気付かれ、窮地に陥る。しかし「ちゃんと死を受け入れた上で、死者の傷みを理解し弔うことが必要」という自分の結論で社長を説得し、自身も優菜に別れを告げたのちにデータを削除し、優菜への思いに終止符を打つ。会社は社長の第二創業により「死者との時間を提供する」から「死者との別れを提供する」サービスへと転換し、有里は自分なりの信念を持って仕事に取り組んでいく。

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カクヨム
カクヨム2022/12/18
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