あらすじ
人生には、いくつかのターニングポイントがあるんだって、何かの本に書いていた。 人生の変わりどき、分岐点となるとき。 それまでの私は、やりたいこともなかなか見つけられなくて。 友達が次々と自分の将来を見据えていくことに、どうしようもない不安や焦りを覚えていた。 「将来は何がしたいの?」 「どの高校に行きたいの?」 「どんな人になりたいの?」 そんな言葉を聞くたびに、耳を塞ぎたくなった。 だけど、あの日――。 キミと出会ったあの瞬間が、きっと私の、はじめての人生の分岐点になったんだ。 ==ネタバレ注意== 《キャラクター設定》 *小宮山 りん(14歳)* ・平凡な女の子 ・料理が得意 ・自分の将来、進路について、やりたいことが決まっておらず焦っている ・両親が、芸能事務所『ゴールドスター』を経営しており、小学校のときから家が芸能事務所だという理由で、「芸能人に会わせてよ!」などと執拗に言われてきたため、自分はただの一般人にも関わらず、芸能人や歌手の子供達が多数入学している『三ツ橋芸能学園中等部』に通っていることに、少なからず引け目を感じている ・自分には特技や秀でたものがないと思っているが、アイドル達のお世話をはじめて、少しずつ自分にも「できることがある」ということに気づき、自信をつけていく *神﨑 綾人(14歳)* ・りんの幼なじみであり、りんのことを一途に愛している ・小学校一年生まで毎日のようにりんと多くの時間を共有してきたが、父親の仕事の都合によってロサンゼルスにいくことに ・本来は大学卒業まで帰国の予定はなかったが、りんに会いたい一心で、彼女の父親(芸能事務所の社長)から「ウチの芸能事務所に所属して、練習生としてアイドルを目指すというなら、わたしがキミを引き取ってあげる」という提案に承諾する ・ゴールドスター事務所所属:練習生 ・のちにアイドルグループ『ルーナ』のメンバーになる *里見 俊介(14歳)* ・りんの両親が経営する事務所『ゴールドスター』に10歳のころから所属しており、子役時代から俳優業などを経て、今は練習生としてアイドルデビューを控えている ・アイドルグループ名『ルーナ』のメンバー ・強気で俺サマ ・りんとよく言い合いや喧嘩をするが、それは好きの裏返し ・ダンスが得意で、誰よりも練習を怠らないプロ意識を持っている ・最初こそ新参者の綾人のことが気に入らないが、さまざまなことを経験し、乗り越え、絆を深めていく *大島 ヨウ(13歳)* ・芸能事務所『ゴールドスター』に幼少期から所属している ・甘えたワンコ系だけど、実は二面性がある(表の顔:ワンコ系、裏の顔:ドS気質) ・りんのことが大好きだといつも公言している ・今は練習生としてアイドルデビューを控えている ・のちにアイドルグループ名『ルーナ』のメンバーになる *小宮山 真奈(26歳) ・りんの十二歳年上の姉 ・両親が経営している芸能事務所『ゴールドスター』の統括マネージャーを務めている ・大学卒業後、最初に担当したのが俊介 ・俊介が練習生にも関わらず、人気を博しているのは他でもない真奈の手腕っぷりのおかげでもある ・りんがいつも一人で家のことをしてくれることに感謝している ==長編化した際のプロット== *最大のライバル現る!?* ・来年にアイドルグループ『ルーン』のデビューに向けて、これから始動することになったりん達。が、同じ学園に在籍し、すでに今年デビューを果たしたグループ『ソル』のメンバーの一人が、なんとりんに目をつけ始める。 なんでも、学園内で今一番騒がれている帰国子女で転校生の綾人をはじめ、もともと人気を博している俊介がこぞってりんと親しくしていることを知り、りんに興味を持ったのだ。 『ソル』のリーダーで一つ年上のユウは、毎年学園の恒例行事である『グループ対抗ダンスバトル』で勝負を持ちかけ、勝ったほうがりんを独占できるというものだった。 綾人はりんを賭けに使われることにひどく怒りを露わにし、俊介は自分の所有物に手を出されることを嫌い、ヨウはりんを取られたくないと躍起になる。 とはいえ、綾人達『ルーン』はまだデビューもしておらず、意見も合わずギスギスしてダンスの進行具合も遅い。りんは自分に何かできないかと積極的に声をかけたりアイデアを出すが、それでもなかなか溝が埋まらない。 このまま『ソル』に負けて、自分はソル側の人間になってしまうのか。「そんなの嫌だ!」と泣きながら三人に訴える。りんの涙を見た三人はいよいよ本気になり、ダンスバトル本番ヘ挑み、僅差ではあるものの見事に勝利を収めて安堵する。 *ヨウの本性* 誰からも可愛がられて、ワンコ系で有名なヨウ。ただヨウは体が弱く、よく風邪をこじらせたり咳き込んだりしてしまう。そんなヨウの看病をするりん。りんはヨウの可愛らしさにメロメロで、弟のように思っていた。 そんなある日、ひょんなことからヨウが不良達に絡まれてしまっている場面に遭遇する。「大変だ!助けないと!」恐怖心を押し殺して飛び込もうとしたりんの目の前で、ヨウは不良達を一瞬で薙ぎ倒してしまう。 「僕を襲おうとするなんて、百年早いんじゃない?」と見下しながらネクタイを緩めるヨウの裏の顔を見てしまったりんは驚きを隠せない。思わず隠れてしまったものの、ヨウはりんがいたことを知っており、「出ておいでよ。りんちゃん?」と言って、ゆっくりと壁に追いやる。 「りんちゃんが思ってたような可愛い僕じゃなくてごめんね?でも、こんな僕も丸ごと愛してね?」と言って、それ以降、ヨウは表と裏の顔を使い分けてりんを翻弄しにかかるのだった。 *俊介の怪我* ・誰よりも完璧を求め、練習に精を出す俊介は、デビュー曲をもらって以降、誰よりも懸命に練習に励む毎日。しかし、その反動のせいで足首を痛めてしまう。けれど誰にも言わず、りんも同行していたモデル撮影に臨んだとき、りんは怪我のことを気づく。いつもの俊介の動きじゃなかったからだ。 「なに、普段からそんなに俺のこと見てんのかよ」「見てるよ。だって私、お世話係だから」そんな懸命なりんに、俊介は少しずつ心を開いていく。けれど、練習できないことにストレスを抱え、またヨウが体調不良で集まれない日が続くことに苛立ちを見せる俊介。「風邪なんだから仕方がないでしょ」と宥める綾人に構うことなく、俊介は練習室を出て行ってしまう。 りんは俊介のあとを追い、「安静にしてないと」と声をかけるが八つ当たりしてしまう俊介。りんは理不尽なことを言われ泣きそうになるが、グッと堪えて例えば英語の歌詞の部分を綾人に聞いてみたり、自分が動けない分、ヨウが戻ってきたときに教えてあげたり、やることはいくらでもあるでしょ!と怒ってみせる。 俊介は冷静になり、頭を冷やす。そしてりんに言われたとおり、個人のことだけではなく『ルーン』というグループとして行動しようと決意する。 「りん、俺が悪かった」「わ、分かってくれればいいよ!」「…お前、マジで将来俺らのマネになれよ。向いてると思う、この仕事」その言葉に、りんは嬉しくなるのだった。 *綾人の嫉妬* ・俊介の怪我やヨウの体調不良のことで手一杯になっていたりん。二人にばかり構うりんに、綾人は嫉妬してしまう。家に帰れば一緒にいられる、と自分に言い聞かせてみても、りんは家に帰ってからも俊介やヨウと電話でやりとりをして安否の確認をしたり、勉強も怠らないぞと自室に篭る毎日。 綾人が頭を悩ませていたある日、りんは「綾人くん?大丈夫?」と声をかける。綾人は嬉しい反面、体調不良にならないと声をかけてもらえないのかとりんについ言ってしまう。「…ごめんね、今のなし。忘れて?」 そんな中、綾人がりんの家で同居していることを知った俊介とヨウ。「お前、あり得ないだろそれ。あんな全身のオーラで"りんのことが好きです"って言ってるような男と二人暮らしなんて」「僕達もりんちゃんと一緒に住む!」 なんと二人はりんの家に泊まりに行く。「ダメに決まってるでしょ!」と追い出そうとするりんだが、仕事終わりで夜も遅く、仕方なく三階の客室に二人を泊まらせる。綾人は余計に嫉妬心を煽られ、キッチンでみんなのご飯を作っていたりんを押し倒してしまう! 「りんの作ったご飯を、あいつらに食べさせたくない」「本当は家にいるりんの姿を見せるだけでも嫉妬で狂いそう」「俺だけの、特権だと思ってたから」「最近では目もまともに合わせてくれないよね?」などと言って、自室にこもってしまった綾人。りんは綾人が日に日に格好よくなっており、そのたびにドキドキしてしまうせいであえて距離を置いていたのだった。けれど、そのせいで二人の関係が悪くなってしまったことを後悔し、りんは綾人に正直に言うことに。 「俺が、かっこいいから?」「そ、そうなの!綾人くんを見るとドキドキしちゃってっ。だから俊介やヨウくんがいてくれたらこのドキドキも和らぐかなって…思って」 その言葉に、綾人は嬉しくなる。そして「じゃあ、もっとりんをドキドキさせて夢中になってもらわなくちゃね」と言ってさらに頑張る綾人。無事に仲良くなれてホッとしたのも束の間、りんは密かに綾人に対する気持ちを捨てなければと思っていた。なぜなら綾人はアイドルとしてこれから全国の女の子の注目を浴びる存在になる。アイドルが恋愛禁止だということはもちろん承知で、だからこそりんは迷いが生じていた。 *アイドルグループ『ルーン』のデビュー!* ・四人でデビュー目指して頑張っていこう!と決めたあの日から、一年。グループとして、個人として、幅広く活動してきた綾人達は、いよいよデビューの日を迎える。 そして、いつの間にかりんは中学三年生になり、いよいよ本格的に進路の方向性を迫られていた。この一年、三人のお世話係としてやれるだけのことはやってきたつもりだったが、本当にこのままマネージャーとしてやっていけるのか不安を募らせていた。りん達が通う学園の高等部には『普通科』『芸能科』そして『マネジメント科』の三つの学科が用意されている。もちろん他の高校に通うという選択肢もあり、りんは迷いに迷っていた。 そんな中で迎えた、『ルーン』のデビュー当日。有名な音楽番組でその日を待ち侘びていたりんは、舞台袖から彼らのことを見守る。三人は特に緊張することもなく、デビュー曲を披露する。最高のパフォーマンスを見せ、拍手喝采の中で安堵したりんに、とあるサプライズが。 綾人や俊介達は、りんに内緒で自分達で作詞したもう一つの曲を持っていた。それはりんに対する彼らのそれぞれの想い(感謝や好き、これからも一緒に歩んでいこう、など)が歌詞として綴られているもので、この日にはじめてりんに見せたのだった。この曲を聴いて、りんはこれから先もずっと『ルーン』のお世話係として一番近くで見守っていきたいと思うようになった。 そして、りんが提出したりんの進路希望調査には、大きな字で『マネジメント科』と書かれてあり、将来は頼られるマネージャーになること、と追記されていたのだった。 【完】