あらすじ

わたし、春奈心羽には、すごいひみつがある。 普通の女子中学生のフリをしているけど、実は、触った人の心を読めるんだ。 困っている友達の代わりに図書委員を引き受けたら、女子嫌いで有名な『笑わない王子』――水橋伊織くんと一緒になった。 (オレ……やっぱり、春奈のことが、好きだ) 彼の思いがけない本音を知ってしまって、さあ大変。 なんで!? なんで、わたし、笑わない王子に好かれてるの!? 実は心が読める系女子×女子嫌い(?)で有名なクール系男子の、不器用でピュアな溺愛学園物語、ここに開幕! ※カドカワ読書タイム短編児童小説コンテスト応募用作品です。 ※ネタバレ注意 『キャラクター設定』 春奈 心羽(はるな みう) 中学二年生の女の子。まじめで、頑張りや。 普通の女の子のフリをしているが、実は、触った人の心を読むことができるという秘密を持つ。 生まれつき持っていた能力だが、人の心を勝手に読んでしまう自分に罪悪感を抱いており、罪滅ぼしの気持ちで、いつも人助けばかりしている。 小学時代に、親友に秘密のことを打ち明けて拒絶されたことがトラウマ。秘密がバレることをなによりも恐れている。 ひそかな趣味は乙女ゲーム。 水橋 伊織(みずはし いおり) 中学二年生の男の子。超イケメンだが、極度の女子嫌いで、青ニ中の有名人。告白されても塩対応、いつも無表情で全く笑わないため、『笑わない王子』というあだ名がついてしまった。 心羽がほんの少し触れたとき、なぜか心羽を溺愛していることが発覚して、印象が百八十度変わる。冷たい表情と甘い本音のギャップが激しすぎる人。 春奈 蓮(はるな れん) 高校二年生の男の子。金髪と黒縁メガネがトレードマークで見るからにチャラそう。心羽の従兄で、心羽と同じ能力を持っている。心羽が唯一、秘密を共有できる相手。心羽のことが大好き。 普通の人と恋をすることにトラウマがあり、心羽にも「現実で恋はするな」と忠告している。 森 明日香(もり あすか) 中学二年生の女の子。心羽が中学で一番仲の良い友達で、心羽はあすちゃんと呼んでいる。バスケが大好きで、勉強や読書は苦手。いつも人の手助けばかりしている心羽のことを、ひそかに心配している。 『長編化した際のプロット』 起 中学二年生の春奈心羽は、実は、触れた人の心を読むことができる女の子。能力を使って、友だちの森明日香が本音では図書委員になりたくなかったことを知り、自分が代わりに引き受けると申し出る。みんな、心羽のことを優しいと言うけど、心羽自身は、勝手に人の心を覗き見してしまう自分に罪悪感があり、罪滅ぼしの気持ちで人助けをしているのだ。 図書室に向かうと、クラスメイトの水橋伊織が受付のカウンターで本を読んでいた。超イケメンだけど極度の女子嫌いで青二中の有名人な彼は、笑わない王子というあだ名までついている。だから心羽も、伊織にはスルーされて当然だと思っていたが、ほんの少しだけ触れたときに(オレ……春奈のこと、好きだ)と彼の思いがけない好意を知ってしまい、動揺しまくる。心羽には、なぜ伊織に好かれているのか心当たりが全くない。 その翌日、心羽が、今度は担任の先生の仕事を手伝っていると、伊織も一緒に手伝ってくれた。伊織の不器用なやさしさと甘い本音に触れるたび、心羽は伊織に惹かれていく。 承 家に帰ると、春奈蓮が遊びに来ていた。高校二年生の蓮は心羽の従兄であり、心羽のことが大好き。蓮は心羽と同じ他人の心を読む能力をもっており、心羽が秘密を共有できる唯一の相手だ。蓮から「現実で恋愛なんて、しちゃダメだよ」と忠告される。普通の人とボクらはわかりあえない、という蓮。その夜、心羽は小学時代に親友の沙雪から『触らないで!』と能力を打ち明けたことで拒絶された過去を思い出し、胸が痛む。 ある昼休み。心羽は、明日香に伊織の小学時代の話を聞く。過去の伊織は、口数は少ないけど優しくて女子にモテモテだったという。 気になった心羽は、伊織本人に笑えなくなった理由を聞く。すると伊織は、小学時代の辛い過去を話してくれた。伊織は、伊織の親友が好きだった女子から「伊織くんの笑顔が好き!」と一方的に好意を持たれてしまったことで、親友から絶交されたのだという。 心羽が、親友に突き放された苦しみに共感して泣くと、伊織に頭を撫でられた。 伊織は、女子が苦手になったが、それでも心羽には救われたのだと話す。中学一年生のとき、『笑わない王子には心がない』という悪口で盛り上がっていた女子たちに、『心がない人なんていないと思う』と心羽が自然に言い返したのを伊織は聞いていた。それから、いつも一生懸命に人助けをしている心羽のことが好きになったのだと告白される。 転 心羽は、伊織の告白を受けいれる。とても嬉しくて、苦しいほどドキドキした。そして、心を読めるという重要な秘密のことは打ち明けられないまま、伊織と付き合うことになる。 休日、初めてのデートで伊織とプラネタリウムに行く。手をつなぐたびに伊織の甘い気持ちが流れこんできてくすぐったい。幸せすぎて、心羽は能力のことが伊織にバレるのが怖かった。バレたら最後、別れを切り出されるに違いないという恐怖心に心羽はさいなまれる。 デートの最後に、心羽と伊織は、蓮と遭遇する。二人が恋仲になったことを察して機嫌が悪くなった蓮は、「どうせキミは、心羽の秘密を知らないんでしょ?」と伊織を挑発。取り乱した心羽は、戸惑う伊織を放って、泣きながらその場を逃げ出した。 気まずくて、でも本当のことを打ち明けるのはもっと怖くて、伊織を徹底的に避ける毎日が続く。 心羽は、大泣きしながら、その原因を作った蓮を責めた。蓮は「付き合う以上、遅かれ早かれ、能力のことはバレる。能力が理由で別れることになるなら、最初から、結果は決まってるんだよ。ボクは、中学のときに隠して付き合っていた子がいたけど、好きな人にウソをつきつづけるのは本当にしんどかった。心羽には、同じ思いをしてほしくない」と過去の苦しみを語った。 結 蓮の話に心動かされた心羽は、伊織と向き合うことを決意する。伊織に、ずっと返信できていなかったことを謝り、『明日の放課後、話したいことがあります』とメッセージを送る。 翌日の放課後。心羽は、能力のことを伊織に打ち明ける。人助けをしているのも罪悪感からであって、純粋に良い子なわけじゃないということも全て話した。 沙雪の時と同じように拒絶されるかもしれないという恐怖でいっぱいになった心羽の前で、伊織は、耳まで真っ赤になっていた。意外な反応に首をかしげる。すると、ものすごく驚いたし全部聞かれていたと思うと恥ずかしくてたまらなくなったけど、なによりも、打ち明けてくれたことがうれしかったと伊織は笑った。 「春奈が春奈でいてくれたから、オレは救われたんだよ。春奈。不器用なオレの心に触れてくれて、ありがとう。春奈を好きになって良かった」と伝えてくれた伊織に、心羽は、他人の心を読むことができる自分のことを初めて認めることができた。笑わない王子の本音が甘すぎることを知ることができたのは、心羽が心羽だったからだ(完)

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