あらすじ
「あ~きょうもしんどかったなあ」
夏実は23時を過ぎようとする車内時計に目をやり独り言ちながら、ヘッドライトに照らされた橋を渡った。下を流れる川は大きな河川ではないが、水量が多い。水辺にはヨシなど丈高い草が密集し、朝通る時など突出した石の上でよく亀が休んでいた。
橋を過ぎしばらく行くと住宅密集地の路地に入っていく。街灯があるとはいえ、こんな時間でも犬の散歩をさせている人がいるので、運転に注意しなければならなかった。
路地に入る手前の街灯下に黒っぽい人が立っていることに夏実は気付いた。
スピードを緩め安全確認しながら進んでいくとヘッドライトに照らされて女性の顔がこちらを向いた――