あらすじ
霜蟲(しもむし)と呼ばれる蟲によって大地が凍てつく北大陸の汪夏帝国に渡ってきた異邦の娘、リーザ。 リーザは己の「夏を呼ぶ」という特異な体質を活かし、霜蟲を追い払う「霜祓い」となることを夢見ていた。 しかし、不運が度重なり見世物屋の下僕にされたリーザはとある日、「怪しい妖術を操る不審者」として汪夏帝国兵に捕らえられてしまう。 そこでリーザは、汪夏帝国の北方を支配する騎馬民族国家「スメイア国」の王に助けられる。己の命を救ってくれたスメイア王に恩返しを申し出たリーザは、スメイア王の王命によって、スメイア国が第一王子シムルグへと嫁入りすることになってしまい……。 三百年を生き、「冬蛇の王」と恐れられる異形の姿を持った王子シムルグ。 リーザは、夏にしか目覚められない体質でもあるシムルグに「常に夏を届ける」ため、スメイア国の宮廷霜祓いと成り、スメイア王族と北大陸の抱える「不変の冬」の掟と呪いに向き合ってゆく。 これは、常夏の魂を持つリーザと、不変の冬の中で生きる異形の王子シムルグの、凍てつく大地の呪いと掟を巡る、異類婚姻譚。