あらすじ
「サイリス、はっきり言わせてもらうが、僕は君との婚約を辞めようと思う。…理由はいろいろとあるが、やはり君では僕に釣り合わない。…そんなことは初めから分かっていたものの、そうとは告げなかった僕にも責任があることは理解している。しかしどうか分かってほしい」
サイリスはすでに感づいていた。この人には自分よりも心慕う女性がいるのだ。その女性との関係が壊れた時のための、ある種保険の役割を自分は持っていた。しかしこのような言葉を告げてきた当たり、どうやらその女性との関係が望む形で実現したらしい。そうなればもはや自分はお荷物であることは明白だった。
「…分かりました。今まで、ありがとうございました…」
おとなしい性格の彼女に、理不尽な扱いながらも反論するほどの心はなかった。そんな彼女の心の弱さを良い事に、この男はこれまでの事を全て水に流し、他言しないようにと口封じまで敢行した。彼女の心は、もうすでにぼろぼろになっていた。
ただ、彼女にはよき理解者がいた。その男性がこの状況を打破し、さらにはあの男への復讐を果たす。