あらすじ
産業も、生活も、竜によって成り立つ世界。 地上は数百年前から穢土と化した。 ひとびとは穢れを避け、高山と、空とに移り住んだ。 高山に暮らす者は、つちびと。 竜の珠のちからで浮遊する城、空城に暮らすものは、そらびと。 互いにそう呼び、互いの信念のもとに、反目しつつ、共生した。 トゥトゥ・リンは、つちびと。 地竜の育成機関、竜の宮。 そのひとつ、白薄荷の宮の、ひとり娘である。 竜の、生物の声が聞こえるというちから、竜の縁。 トゥトゥは、つよい縁を持って生まれてきた。 そのちからは、竜の祝縁、と呼ばれた。 そうして、ある日。 トゥトゥは空城のひとつ、ウォジェ家に使いに出た。 竜を使役し、空を支配する、竜の祠。 ウォジェ家はその筆頭である。 トゥトゥの。 あるいは、堕ちた英雄、セイラン・ウォジェの。 長い長い、そうして驚きと幸福に溢れた、旅。 そのはじまりが今日であることは、二人ともまだ知らない。