あらすじ
レリオットとエレナは確かに婚約関係にあった。元はレリオットが一方的にその関係を作り上げたことが発端ではあるものの、エレナももはや自分の運命はこれなのだと理解してその立場に納得しようとしていた。しかしレリオットは婚約者であるはずのエレナをないがしろにし、自身の幼馴染であるフィーアにばかり気をかけているのだった。
「旦那様、この支出はフィーアに対するものですか?…もう控えてくださいと何度も申し上げているのに…」
彼女がフィーアの話を出した途端、レリオットはどこか不機嫌そうな表情を見せた。
「君もしつこいなぁ…彼女との関係は僕の人生に必要不可欠なんだよ。それをみすみす手放せだなんて、残酷な事を言っているとは思わないのかい?そもそも君がここにいることができるのは婚約してやった僕のおかげだろう?」
それは少し違う。彼はもとより婚約者を立てるつもりなどなかった。しかし周囲の人間からフィーアへの偏愛ぶりを諭されてしまい、それらに対するけん制のためだけにエレナとの婚約のカードを切ったのだ。言ってしまえば、自分の都合だけの婚約なのだ。