あらすじ
階段を上り、辿り着いたドアの前で深呼吸。開けると……ははは、まさにって感じだ。
ここは都内某スタジオ。そう『某』だ。
マネージャーから渡された地図を見てやって来た、何の変哲の無い外観のビル。
その中のスタジオも何とも味気ない。
白い壁、ライトグレーの床。照明はそこそこ大きなのが左右に二台。
カメラは……なんだ、一台かよ。まあ、贅沢は言えないわな。
椅子と机が三つずつ。あそこに座るんだな。なんだかクイズ番組みたいだ。
俺は一番手前側、下座か。まあいいさ。
俺は弱小事務所の弱小タレント。雑魚も雑魚。つまり鰯ってこと。
普段はバイトを三つ掛け持ちしつつ
たまに入る数千円の芸能仕事(エキストラ)で何とか自尊心を保ちつつ
日の目を見ない、暗く苦しい日々を送っている。