あらすじ
「ひと夏で、私に恋を教えて。そして――、」儚げな彼女はきっと、夏の使い魔。
*
「――この街で、ほんとうの私を見つけて」
同じクラスに転校生がやってきた。
だけど、「僕」の後ろの空席は、七月になっても埋まらない。
夏休みも迫ったある日、廊下で見かけた水色のワンピースを着た不思議な女の子の姿と、空席の上に置き去りにされた宮沢賢治の『風の又三郎』の文庫本とが重なった瞬間、「僕」は彼女を秘密の高台まで追いかけていた。
――――「私は夏の使い魔」、「この街に閉じ込められている」。
謎めいたことを口にする彼女は、自分のことを思い出したいならと、正体を明かす代わりに、「僕」にある条件を持ちかける。
彼女の願いに応え、お互いに手を繋ぎながら、思い出を再生することが、因果を解くための鍵になるはずだった。
オリジナルの擬音や、記憶とミックスされた味覚。極端なまでの無知と博識。そんな独特の感性を持つ彼女に、無感情な「僕」は惹かれていくが――――。
「理由は分からないけど、君のためなら死んでもいい」
「君が死なないように、この夏のあいだ、私は君についてなきゃいけない」
夏の終わりに、別れは必ず来るから。
鮮烈なひと夏の、「記憶」と「罪」をめぐる青春恋愛ストーリー。