あらすじ
近未来。同調圧力が疾病化し、国民の大部分が日常的に狂気化して錯乱状態へ陥るようになった日本。国は当該の疾病対策のために官民連携体制の下、個人の総合人格のデータ化と転写技術開発に成功した。技術は次世代のスマートフォンに存分に活かされ、それはすでに俺たちの世界に流通している。
ズゥヴェロハット。俺が他人との情報接触で心を傷つけるたびに、機械の守護霊がダメージを肩代わりしてくれる。可愛くて大切な、俺の身代わり人形さ。
いまじゃズゥヴェロハットを身につけないで生活するなんて、嵐の中に裸一貫で突っ込んでいくよりはるかに危険だ。地獄のただ中に突っ立っているようなもので、だがしかし俺は、今まさにそんな状態に陥っている。酔っぱらってズゥヴェロハットを電車の中で失くしちまったんだ。こいつは大事だ。早く探さなければ。とんだ帰り道になっちまった。