あらすじ
保育園に通っていた頃にテレビで見た戦隊ヒーローに憧れた巽孝哉は、夢中になってヒーローを応援していた。 しかし一年も経たないうちにヒーローが消えてしまった。そう「番組が終了した」のだ。 それでもヒーローへの思いがくすぶっている孝哉だったが、小学生になったある日テレビでヒーローの姿を見つけた。母親に尋ねたら器械体操の中継映像らしい。床の演技を見ていて驚いた。憧れていたヒーローが行なっていた技を、彼らは軽々とやってのける。ヒーロー以上の技も実施していた。 母親にねだって「器械体操」の教本を買ってもらうと、ひとりで小学校の砂場で前転跳びの練習は始めることにする。しかし補助もなしではいくらひとりで頑張っても身につくはずもない。なにせ器械体操は百年を超える歴史がある。つまりひとりで頑張っていたら、修得するまでに百年以上かかるということでもあるからだ。しかし孝哉はめげることなく、毎日頭から突っ込んで砂まみれになっても、毎日日が暮れるまで何回でも練習をし続けた。 頭から落ち続けること一年。やっと頭から砂に突っ込むことなく、不格好だが回り切ることに成功する。その日から、土の上や砂利道、コンクリートやアスファルトなど、より恐怖が増す場所で前転跳びの練習を行なった。そしてどこでも自信を持って回れるようになった。 次はバク転とバク宙だが、まずはバク転からだろう。そこからまた毎日砂場で頭から落ちる日々が始まった。 中学の砂場で練習していると、体操教室に通っているという女子が話しかけてきた。 果たしてバク転とバク宙は身につけられるのか。 そして憧れていたヒーローになれるのか。 ある男子高校生の挑戦が幕を開ける。 ※この作品はフィクションであり、実在する人物・団体・地名とは関係ありません。 ※器械体操の技は、けっして独りで練習しないでくださいませ。大怪我をする可能性もあり、場合によっては死に至ります。ですので、絶対に補助なしで練習してはなりません。子どものうちから独学、ひとりで身につけようとする描写にしたのは筆者の経験を書いております。ですが、今では危険度が高いのです。だから絶対に真似をしないようにしてくださいませ。