あらすじ
【第2節】それはまるで夢のような 睡眠都市の外縁に広がるスラムに住むケイジとサヤの兄妹は、物心ついた時から一度も眠ったことのない無眠者だった。 両親を強盗に殺され、浮浪児として劣悪な環境の中で生きるしかなかった二人。 そんな中、サヤはいつしか病床の身となり、眼前に迫る死を待つばかりだった。 ケイジは、そんなサヤにせめて一度だけでも、幸せな夢を見せてやりたいと決意をし、都市を支配する高等遊眠が持つという、夢を見せる「マッチ」を盗み出す。 これは、人間の夢を計算リソースとして社会インフラを構築した睡眠都市《ヒュプノポリス》を舞台とした短編連作である。 そこでは、夢を見ることができる人間、有眠者たちが自動化された優雅な社会を構成し、 突然変異から眠ることのできなくなった無眠者、通称『夢なし』は被差別民としてスラムでの生活を余儀なくされていた。 第1節 向こうの山の麓まで 睡眠都市で病院を経営する裕福な家庭に生まれたラビには、一つ年上の兄がいた。 有眠者しかいない家族の中で、兄だけは、唯一眠ることができない無眠者だった。 秘密がバレれば、家族諸共ヒュプノポリスを追われる。その状況の中で、ラビは、愚鈍な兄タトルへの反感を募らせながら成長していく。 やがて、市内で最も優秀な高校に飛び級で進学したラビは、眠らずに努力を重ねる兄と争うことになっていく。 睡眠都市を舞台に繰り広げられるウサギと亀の物語。