あらすじ
「カドカワ読書タイム短編児童小説コンテスト」応募作品 我が家には屋敷神様がいる。 ずっと我が家を見守ってくれていたようですが、片思いの幼馴染みのことお願い事をした途端、その人は姿を現した。 しかも「君にふさわしい相手か吟味してやる」って……。はっきり言って迷惑です! ※ネタばれ注意 【登場人物】 花宮 凛(はなみや りん) 中学2年生 14歳 屋敷神がいる古民家に住む。 幼馴染みの遠に片思いをしているが、恋愛対象と思われていないのが悩みの種。 屋敷神の雫に好きだと言われているが、本気にしていない。 遠に振り向いて貰おうと頑張っているが空回り。 曾祖母の鈴と瓜二つ。 雫(しずく) 10代半ば~20代くらいの風貌 年齢不詳 凛の家の敷地内にあるお社の神様。いわゆる屋敷神。 荒ぶる川の主である竜神が本性。 本当は生贄などいらないが、人々の耳には届かない。ようやく鈴に声が届き、治水工事を先導する。 その後、鈴の手によって花宮家の屋敷神として迎えられる。 凛の曾祖母鈴に惚れていたが振られた。 凛に若き日の鈴の姿を重ねている。 武藤 遠(むとう とおる) 中学2年生 14歳 凛の幼馴染み。 父方の祖母がなぎなたの師範。幼い頃から凛と一緒に習っている。 もともとは凛の姉珠貴に恋をしている。 凛の気持ちは知っているが、恋愛対象には思えない。 花宮 鈴(はなみや りん) 凛が生まれる前には亡くなっている。 鈴(りん)と読むが、凛の両親は鈴(すず)と読むと勘違いしてる。 花宮家はもともとは大地主だった。 昔から水害が多く、花宮家は川の主である荒ぶる竜神を祀る一族。 鈴は竜神の生け贄になる運命だった。 人には見えないものが見え、聞こえないものが聞こえるという不思議な力を持っている。 雫に求婚されるが、雫が惚れたのは自分ではないことを知っていたので相手にしなかった。 竜神 雫の本性。かつて地域を流れる大きな川の神であったが、毎年氾濫を起こして人々の恐れの対象であった。その恐れる気持ちが生んだ神様。荒ぶる神と人々に恐れられていた。 【長編化のプロット】 花宮家の屋敷神、雫の秘密が明かされる。 雫の本当の想い人は曾祖母の鈴。 「君のひいおばあちゃんが僕の声を聞き、願いを叶えてくれたんだ。鈴さんは恩人でもあるんだ」 凛は鈴と瓜二つ。凛に鈴の面影を重ねていたらしい。 大切にされていたのは、曾祖母の代わりとしてだったと知った凛。 片思いの遠に相手にされていないことよりも、ショックを受ける凛。 凛の心の隙間に忍び込むように、自分の名を呼ぶ声が聞こえるようになら。。 その声は他の人には聞こえない。凛にしか聞こえない。 声を辿ると、そこは地元で密かに心霊スポットとして恐れられている廃神社だった。 この廃神社はかつて竜神に捧げられた娘たちを祀ったものだった。 この地域を流れる川は、よく氾濫を起こし、この川には荒ぶる竜神がいるのだと村人に恐れられてきた。 治水工事を行い静かな川になったが、それ以前は竜神の怒りを沈めるために、若い娘が生贄にされていたのだ。 「おまえだけ助かるなんて、許せない……鈴」 本当は生贄になるはずだった曾祖母鈴。 鈴が少女だった時代へ連れ浚われた凛。 「お前も冷たい川底に沈めばいい」 生贄となった娘たちと同じように。 身動きも取れず、声も出せない。このままでは川に沈められてしまう。 その時、川底から悲痛な声が聞こえる。 生贄など必要がないと。 もう止めてくれと。 この声は……知っている。 この声は、雫さん? 渾身の力で抗う凛。 這いずってでも逃げてやる。 追い縋る娘たちの亡霊。 「もう止めてくれ」 こちらの時代の雫が現れる。 竜神の登場に恐れた娘たちの亡霊は搔き消える。 ずっと声は届かず、娘たちが犠牲になっていく様を止められなかった雫。 雫の嘆く心を感じ取り、思わず抱き締める凛。 もう大丈夫だから、泣かないで雫さん。 この時、雫は凛に惹かれたわけだが。 凛の存在はまだこの時代には存在しないため、鈴だと思っていた。 また名前を聞いた時、鈴と凛は両方「りん」と読むため、勘違いしていた。 つまり、雫がずっと恋焦がれていたのは凛だった。